鉄系材料の切削加工|SS400・S45C・快削鋼などの特徴と加工ポイント鉄加工
株式会社小野工機では、ステンレス鋼に次いで加工実績が多いのが鉄系の材料です。鉄系と一口に言ってもさまざまな種類があり、それぞれ特性や加工時の注意点が異なります。
このページでは、代表的な鉄系材料とその特徴、加工上のポイントについてわかりやすく解説します。
炭素鋼の分類と切削性の違い
鉄に含まれる炭素量の違いによって、以下のように分類されます。
- 低炭素鋼(C量 0.25%以下):柔らかく加工しやすいが、強度は低い
- 中炭素鋼(C量 0.25~0.6%):強度と加工性のバランスが良い
- 高炭素鋼(C量 0.6%以上):硬度が高く、工具摩耗が激しい
炭素量が増えると硬度や引張強さは向上しますが、その分切削加工は難しくなります。適切な工具選定や切削条件の最適化が求められます。
合金鋼の分類と用途
炭素以外にクロム、モリブデン、ニッケルなどの合金元素を加えたものは「合金鋼」に分類されます。さらに以下のように分類されます:
- 低合金鋼(合金元素含有量5%以下)
- 中合金鋼(5~10%)
- 高合金鋼(10%以上)
代表的な合金鋼には、SCM材(クロムモリブデン鋼)やSK材(工具鋼)があり、強度・耐摩耗性・焼入性に優れています。
よく使われる鉄系材質と加工特徴
SS400|コストパフォーマンスに優れる代表的鋼材
- 特徴: 炭素量が少なく、引張強さ400N/mm²以上
- メリット: 安価で流通量が多く加工性が良い
- デメリット: 焼入れ不可・錆びやすいため表面処理が必要
SS400はかつて「SS41」と呼ばれていましたが、現在はJIS規格によりSS400に統一されています。機械構造用として最もポピュラーな材料のひとつです。
また、ミガキ材としては流通が少なく、ほとんどがSGD3Mに置き換えられています。
S45C|熱処理で性質が大きく変わる万能鋼材
- 特徴: 中炭素鋼で炭素量は約0.45%
- メリット: 焼入れや焼戻しで強度や硬さを調整可能
- 用途: シャフト・ピン・歯車など耐摩耗部品
切削性はSS400よりやや劣りますが、熱処理と組み合わせることで非常に高い汎用性を持ち、さまざまな分野で使用されています。
快削鋼(SUM材)|高速・無人加工に適した高効率材
- 特徴: 硫黄や鉛を添加し、切削性を大幅に向上
代表的な快削鋼:
- SUM24L / SUM32L(M-3):鉛入り。RoHS指令により使用制限に注意
- SUM22 / SUM23:鉛レス。環境対応が必要な分野で使用増加中
快削鋼は、工具寿命の延長、加工時間の短縮、仕上げ面の品質向上といった利点があり、24時間の無人運転にも最適な材料です。
その他の鉄系材料の加工実績も豊富です
下記のような特殊鋼にも対応しております:
- SCM材(クロムモリブデン鋼):強度と靭性に優れ、溶接性も良好
- SK材(工具鋼):硬度が非常に高く、刃物・金型向け
小野工機では鉄系材料の切削加工・表面処理までワンストップ対応
弊社ではSS400・S45C・SUM材をはじめ、さまざまな鉄系材料の加工実績がございます。以下のようなご対応も可能です:
- 表面処理(メッキ、黒染め、タフトライドなど)
- 熱処理(焼入れ、焼戻し、高周波焼入れなど)
お困りの材質や形状でも、最適な加工方法をご提案いたします。ぜひ一度ご相談ください。